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『日米同盟vs.中国・北朝鮮』

試験的に本の要約をしてみます。

元日経新聞の春原剛さんの『日米同盟vs.中国・北朝鮮』。去年の暮れに発売されたばかりの新しい本。

アメリカ共和党のアーミテージ元国務副長官、民主党ジョセフ・ナイ元国務次官補というアメリカの知日派の巨人二人を混じえた鼎談。アメリカには超党の知日派グループが存在し、二人はその重鎮。

日米同盟をめぐる濃密な話がたっぷり語られており、いていろいろと発見があった。二人が日米同盟のためにどれだけ尽力してきたかがわかると同時に、民主党の脱アメリカ政策によって日米同盟が危機に瀕していることが明らかになった。

日本のマスメディアではずいぶんと人気があるオバマ大統領「アジアで最も信頼するパートナー」は韓国と見ている。対北朝鮮用の「陸軍」中心の在韓米軍と、極東、中東を視野にいれた「海軍空軍」主体の日本では質の違いがあるとはいえ、日米同盟が急速に冷えていってることは間違いない。鳩山元首相は「大規模な軍事衝突が近い将来東アジアで発生するとは考えられない」と言っていたが、尖閣問題でようやく目が覚めたのではないだろうか。日本は日米同盟の重要性を再確認する必要がある、というのが春原さんの主張。非常にわかりやすい。

ジャック・アタリは「日本は将来、かならず軍事的な手段をとるだろう」と宣言している。日米同盟が冷えきったあと、中国・北朝鮮からの驚異にそなえるためには軍事的手段に走るしかないからだ。日米同盟は米軍を日本に駐留させることで「核の傘」となって周辺国に抑止力を働らかせている。「米軍にはでていってもらって、でも核の傘は残してください」というのは都合がよすぎる話ではないだろうか。中国の核弾頭はおよそ200発。日米同盟を解消すれば、孤立した日本に残された道はフランスのような自主独立路線しかない。フランスはすでに300発の核弾頭をもっている。中国と「対等」にわたりあうためには日本は「必ず」核武装するようになるという。そして「核のドミノ」は周辺諸国にも波及する(韓国はいちど核開発を計画している)。イランが核武装すれば、トルコ、サウジアラビア、へと核のドミノが波及していくように。

そして中国は現在でも核弾頭の数を増やしている。中国が核弾頭の「先制不使用」を宣言しているのは、単純に二次攻撃にそなえるほどの核を所有していないからだ。中国の核保有は「報復」用であって「先制攻撃」用ではない。これが核軍縮を進めるロシア(13000発)やアメリカ(9400発)に接近すれば、世界のパワーバランスが変わってくる。孤立した日本は第一次世界大戦後の日英同盟をなおざりにしたことで国際社会で孤立し、ドイツ、イタリアと組むことになったという歴史をもういちどかえりみるべきだろう。

いま、日本人の多くが懸念しているのは次のことだ。

「大阪のためにロサンジェルスを犠牲にするか?」

中国が大阪が核爆弾を落としたとき、アメリカはロスが核攻撃を受けるリスクを冒してまで報復行動にでてくれるのか。ナイ教授のこたえは「心配しなくてもわれわれは即座に報復にでる」だった。日本が有事の際にアメリカが「絶対に報復する」と諸外国に思わせることが「拡大抑止力」であり「核の傘」の本質なのだ。核兵器の有無ではない。それは両国の信頼関係によって成り立つものだ。尖閣問題のときにクリントン国務長官がすぐに「日本を支持する声明」を出した。これが信頼による「拡大抑止力」だ。日本の民主党がアメリカを外してアジアに近づくということはこの「抑止力」が希薄になるということを意味する。

そして何よりも重要なことは米国の「拡大抑止力」の信用を高めているのは「核兵器の数」ではなく、日本に駐留する米軍人の存在だということだ。日本人と生活を共にする米国人がいるからこそ「拡大抑止力」となる。換言してしまえは、沖縄に駐留する米海兵隊が「人質」となって「核の傘」の信頼性を担保しているのだ。日本がロシア、中国、北朝鮮から脅された場合に「米国が真剣に取り組む」という高度な政治メッセージがこめられている。

核廃絶をしきりに口にする人たちは(それはとても素晴らしいことなのだが)結果的に日本が諸外国の脅威にさらされ続け、やがて核武装に走るという可能性を考えているのだろうか。それは大戦期の日本の孤立主義の反復だ。それとも軍事大国と化した中国と組むのか。

これからの日米同盟について考えていくうえでとても参考になる名著だった。





日米同盟vs.中国・北朝鮮 (文春新書)

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